東京藝術大学デザイン科の理念
Educational Philosophy
世界は激しく変わりつづけています。
いまデザインには
様々な力が必要とされています。
未来の変化を先取りして
人の暮らしに革新をもたらし
新しい時代を切り拓く力。
守るべき価値を見定めて
伝統を次の世代へ継承する力。
人を思いやり、声なき声に耳を傾ける力。
人間や自然の営みをつぶさに観察し
複雑な事象を整理することで
変化のなかに潜む見えざる文脈を抽出し
本質を読みとる力。
そして、その洞察をかたちにする造形力。
本学デザイン科は、こうした力を
様々な専門領域をもつ10の研究室が
基盤となった教育・研究体制で育みます。
しなやかな感性、論理的思考
多視点の発想、幅広い教養によって
時代の変化に立ち向かう人材を育成します。
東京藝術大学デザイン科の特長
Features
伝統 Tradition
東京藝術大学の前身である東京美術学校は、1887(明治20)年に創立しました。本学におけるデザイン教育は、1896(明治29)年図按科の開設までさかのぼり、デザインが産業工芸や商業美術などといわれた戦前から、多様なデザイン領域が確立する戦後から現在まで、デザインの歴史を第一線で築いた優れた人材を多く輩出してきています。
唯一 Uniqueness
東京藝術大学は、美術学部、音楽学部、映像研究科、美術研究科、音楽研究科等からなる、わが国唯一の国立総合芸術大学です。様々な芸術分野の優れた才能が集う、他校にない創作環境は、たとえばデザイン科学生の制作するアニメーションに、音楽学部の学生がサウンドを提供するなど、領域を超えた学生どうしの交流を可能にしています。
10の力 The Power of 10
本学デザイン科はさまざまなデザイン領域に対応できるように、グラフィックデザイン、情報デザイン、プロダクトデザイン、空間デザイン、環境デザイン、映像、描画、理論などを専門分野とする、合計10の研究室を基盤に構成されています。
自由 Freedom
学部は1学年45名程度で、対話を重視したきめの細かい少人数教育を行っています。10の研究室の常勤教員と様々な領域の第一線で活躍する非常勤講師による実技課題・技法演習・講義は、専門的な技術や知識を段階的に積み上げると同時に、既存のジャンルにとらわれず自由に資質をのばすことを支援する内容となっています。学生は、学年進行にしたがって、ゆるやかなかたちで自分の適性を見定め、じっくりと「やりたいこと」を探し出せる、他には類を見ないカリキュラムのもとで学ぶことができます。
究める Mastery
大学院の学生は、志望により研究室に所属し研究・制作します。より深く専門領域を追究するとともに、研究室を横断した社会連携・産業連携プロジェクトが組まれています。さらに、博士後期課程では、独自のデザイン理論を構築し、高次の制作研究を行うことのできる教育体制となっています。
環境 Environment
日本の芸術発信拠点として整備が進む“上野の杜”で4年間を過ごします。上野という土地がもつ歴史の重みと利便性の高さは、学生たちに必ずや「ここでしかできない」体験をもたらし、その創造性の発現に大きく寄与することになるでしょう。また、取手キャンパスは新たに大学院デザイン専攻の2研究室の拠点となります。そこでは大型作品制作向けの充実した設備をもつ美術学部共通工房も利用できます。
デザイン科が求める学生像
Our Students
つくる力を求めます。私たちの考えるつくる力とは、観察する力・考える力・伝える力を含みます。つまり、物事を客観的に観察し、構造を読みとり、課題を自らの手で見つけ出し、全体を俯瞰し、細部にこだわり、しなやかな感性から生まれた自由な発想で、課題に対する自分なり答えを美的なかたちにまとめあげ、それを社会に展開させる力のことです。本学デザイン科は、つくる力を磨く努力をいとわず、つくる力で世界を揺り動かそうとする強い意志をもつ学生を積極的に受け入れたいと望んでいます。
社会へ広がるデザイン教育
Design Education for Society
本学科では、現在多くの社会連携・産業連携・地域連携・国際連携のプロジェクトを行っています。地方公共団体の協力のもとに、地域経済を活性化させる試案や伝統技術の発展的継承のための方策を考えたり、日本を代表する企業に対して自由奔放な発想でビジネスモデルを提案したり、デザインという共通言語を通して海外の大学との交流プロジェクトを行うなど、「外に開かれた教育研究」を積極的に実践することで、学生の創造性を刺激し、研究と社会貢献が一体した高度なデザイン教育に取り組んでいます。