保存林 植栽実験
2014-06-05
藝大美術学部に残る保存林(通称「奥の細道」)は今年2月の大雪によってかなりのダメージを受けました。
かなりの枝が折れ、地上部に散乱した状態になりました。
4年前に出来たキャンパスグランドデザイン室の者としては何とかしなければといったこともあり、
また専門家に見てもらったところ、逆に光が地上部まで差し込む状況が出来ていて苗木が育つ環境にあることも解りました。
藝大のキャンパスマスタープランには藝大内の植栽は武蔵野の植生に戻すことを基本にすることを書いておりますので、
今回は武蔵野の樹木の苗木60種、480本を植樹することを計画しました。
この植栽計画は、どうすればサスティナブルな方法で保存林を再生していけるかという実験です。
今はどこでも監理しやすい樹木を植えていき(上野公園もそうです)、本来の植生がなくなってきています。
藝大くらいは教材にもなる、本来この地にあった木々を植え、細やかな季節感を感じられ、
学生たちが関心を持って育ててくれる場にならないかという実験でもあります。
今回の実験にあたり、苗木480本は3月末に購入し、4月には学部2年生に名札を付けてもらい、ウッドデッキで待機していました。
(水やりはキャンパス室特認助教の古暮さん、君塚さんが中心になってやってくれました)
5/12に保存林内の掃除と準備を大学院生を中心に行い、
5/14の植樹の日には2年生を中心に卒業生までの40名弱の参加者によって、
用意した60種からそれぞれ1〜2種を選んでもらい植樹しました。
苗木の扱い方を実演する田瀬理夫 氏
自分の木「My tree」を植えることで、その後も気にかけるようになってもらい、
3年後くらいには2〜3mになった木が見られるでしょうし、その想いを後輩に受け継いでもらって、
卒業後の2030年頃には大きな木になった姿を見てもらおうというかなりスパンの長い実験です。
ずっと皆に愛着を持ってもらうものでなければ、これからも定着しないのではないかと思ったことから企画したものです。
今回480本植え、来年も同数程度植えられればと思っています。
今回は平米あたり2本くらいづつ植えました。大学の評議会でも多すぎないかと質問されましたが、
これは専門家(田瀬理夫氏)との協議のもとに決めたもので、植物同士に競争をさせる意味合いです。
その場所に適したものが生き残っていくことによって、よりしっかりとした林をつくっていこうというものです。
また同時に積もった落ち葉は厚さ10〜20cmありましたが、植樹場所の上部は取り除き、
金工棟側の1箇所に集めて堆肥にする実験も同時に行っています。
このプロジェクトはキャンパスグランドデザイン室とデザイン科の私の研究室(環境・設計研究室)が中心になって行ったものです。
環境・設計研究室 清水泰博