東京藝術大学 美術学部 デザイン科 Tokyo University of The Arts, Department of DESIGN

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学生の声 #02:北野歩実さん(修士1年 / 第4研究室)

2022-08-14

「学生の声」では、学部デザイン科・大学院デザイン専攻に在籍している学生に、学生生活や制作に関することをインタビューします。今回は、多摩美術大学から本学デザイン専攻に進学した北野歩実さん(デザイン専攻 第4研究室所属 修士1年 / 2022年4月現在)へのインタビューを掲載いたします。

北野さんは大学院修士課程からデザイン専攻に入学しましたが、学部はどちらで、どのようなことを学ばれていたのでしょうか。

学部時代は多摩美術大学の統合デザイン学科で、グラフィックをベースとしたコミュニケーションデザインを学んでいました。コンペティションに応募したり、個人的に作品を作ったりして過ごしていました。

デザイン専攻では、第4研究室(Visual Communication / 松下計 教授)を志望されましたが、その理由について教えてください。

就職して社会に出るにあたって、どのようなデザインが求められるのか、今後デザイン業界はどのように変化していくかなど、もう少しデザインについて知識を深めるべきだと考え、大学院進学を決めました。第4研究室を志望したのは、学部に引き続き視覚表現によるコミュニケーションデザインを学べると思ったからですね。

第4研究室のアトリエで制作している様子

大学院を受験する際、どうやって藝大デザイン科の情報を得ましたか。

最初は藝大の入試サイトなどを調べたり、デザイン専攻主催の入試説明会に参加しました。デザイン専攻では修士進学希望者向けのオンライン事前面談も行われており、そこで松下先生に研究室の雰囲気を聞きました。第4研究室の人たちがどのようなことをしているか、自分が大学院に入ってからどんなことをしたいのかなど、先生と直接お話ができたのがよかったです。

また、同じ学部から第4研究室に進学した先輩や、先輩のお友達で第4研究室にいる方に連絡を取り、積極的に情報を集めました。 

藝大ではどういった制作をしているのでしょうか? また、第4研究室の雰囲気や第4研究室が取り組んでいること、ゼミの様子について教えてください。

第4研究室では、紙媒体に限らず広く視覚を介するコミュニケーション全般を学んでいます。修士1年生の前期は「家族」をテーマとしたコラージュから始まり、コラージュから派生してポスターを制作し、展示までを行いました。

その他にも、自分の生まれた土地をリサーチしてビジュアルに落とし込んだり、画面の構成を学ぶため、外で1日かけて写真を撮ったりと、とにかく手や体を動かし、日々制作しています。修士アトリエでの作業中や、デザイン科の平面・映像工房で自然と同じ研究室の人と顔を合わせることも多く、外部から入った私もすぐに馴染めました。

松下先生のゼミでは、課題の進捗報告をしたり、先生も含めてみんなで作品についてのディスカッションを積極的に行っています。先生は制作中の課題の参考になるような作品や展示を的確に教えてくださるので、学校帰りに見に行くことも多いです。

課題作品として制作した、家族とその様態をビジュアライズしたポスター

影響を受けた作品や、お気に入りの作家について教えてください。

グラフィックデザイナーの亀倉雄策さんによる陸上短距離のスタートシーンの写真を使った1964年東京オリンピックのポスターを初めて見た時の衝撃は忘れられません。ピストルが鳴って、観客の大声援が始まる直前の静寂と緊張感。見ているだけで手に汗を握るような感じがしました。

高校生の時に初めてポスターを見て、漠然と「私もこういうふうに、人の心すらも動かせるものを作りたい」と思いようになり、美術大学を目指すきっかけともなった作品です。

藝大に入って刺激を受けたことや良かったなと思うこと、驚いたことはありますか。

同じ研究室の人たちはそれぞれ強い個性があり、常に手を動かしているような学生ばかりなので毎日が刺激的です。学部時代は学生の人数が多かったこともあり、先生と直接お話しする機会があまりなかったのですが、第4研究室では頻繁に意見交換をするので、先生との距離がかなり近いなという印象があります。

良かったことは今現在、第一線でお仕事をなされているデザイナーの方々の講義を間近で受けれることです。藝大は学科ごとの人数が少ないせいか、近距離で聞けるのがとても良いところだと思います。

逆に驚いたのは、土日に大学の施設が空いていないことです。また、基本的に18時に教室やアトリエが閉まってしまうのは地味にキツいですね。

学内でよく使う施設や機材について教えてください。

AMC(芸術情報センター)や、デザイン科の平面・映像工房では今まで使ったことがなかった機材に触れることができました。とくに工房にはまだまだ使えていない機材がたくさんあり、修士1年生の間に使い倒したいです。

リソグラフは大学院に入って初めて使ったのですが、今まで使っていたプリンターとは全く違う味が出て、とても楽しいです。工房にいる先生方が丁寧に使い方を教えてくれるので、綺麗に完成させることができます!

これからの大学生活で挑戦したいこと、楽しみなことはありますか。

楽しみにしているのは藝祭ですね。お客さんとして行っていたものに、出展する側として参加できることが嬉しいです。今年はオンライン・実地のどちらでも開催するということもあり、より一層楽しみにしています。

第4研究室の修士1年生で展示も行うので、藝祭にいらした際は立ち寄ってくださると嬉しいです。

これから藝大を受験する人に対して、一言メッセージをください。

とにかく手を動かして苦戦しながらも作品を作り続けてください。ここには常に手を動かし、考え、制作している人ばかりがいます。手を止めたら置いていかれるのが藝大です。たくさん作って、ダメだと思ったら作り直しての繰り返し。その過程も、完成した作品も受験の糧になると思います。

私も今無我夢中でもがいているところです。大学院に入ってから新しいことをたくさん学んだり、「自分ってこんな初歩的なこともやったことなかったんだな」と、気付かされることも多々あります。学びながら考え、造形し、形にする。こういう初歩的なことをずっとできることが、私は大切だと思います。